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死神の精度 / 伊坂 幸太郎

あまりにこのレビューブログをアップしていなかった。
まぁお察しの通り、Doll Blogばかりアップしていてこっちを書いている暇がなかったわけだ。
でも、毎日見に来てくれる方が、実は意外といるので、また少しずつ書かなくてはって思った。
相変わらず大量の本は読んでいるのだが、ここにアップする暇もなく仕事に追われている。
でも書かないと本当に忘れてしまうのだ。
先日もでこぽんさんから『ユージニア』の批評を求められたのだが、読了して考えたことを全く忘れていて、慌てて「ユージニア」を取り出してメモを書いた。
それも追々アップしていこうと思ってる。

今日は2冊読了。
一冊は『モーダルな事象 / 奥泉光』。これはもう最高だった。明日にでもゆっくりレビューを書こうと思う。
そしてもう一冊は『死神の精度 / 伊坂 幸太郎 』文藝春秋社 ¥1429 ISBN4-16-323980-4
死神の精度 / 伊坂 幸太郎 _d0054361_4372391.jpg
やっぱり伊坂作品だった。
あの何とも言えない、『いつか傑作を書くだろう感』がまたまた拡がっていた。
やっぱり書いているうちに飽きちゃうんだろうか。
それとも、これで良いって終わらせるんだろうか。
巷では次の直木賞候補の声も高いそうだ。
これで取れちゃうんだろうか。

内容を触れるとネタバレも含んでしまうのだが、プロットも相変わらず見え見えだ。
最初の『死神の精度』で殺さないという選択を死神が選んでしまうので、いかにもこれはあとで使うプロットですよって語ってしまっている。
そして、ミュージックにあれほどこだわっているのに、(不自然な)40年もの歳月を音楽を聴くというプロットに生かし切れていない。
まぁプロットに使ったモチーフ自体が長い年月を持たせなければならないという、大判風呂敷を拡げすぎてしまったので、不自然な感じが読後感としてつきまとう。

それにこの死神のモチーフは、どう考えても『デスノート』
そして、伊坂さんには悪いけど、かなり悪い模倣だと思う。
『デスノート』の言語はマンガではあるけれど、完全に小説。
そしてあの文字量。
間違いなく情報量では負けている。
なので、モチーフだけ模倣して伊坂流に料理したのだろうけど、今回ばかりはうまく料理できなかったと思う。
きっともっと一つ一つのプロットの完成度をあげていけば傑作になったのに。
相変わらず、一編一編、無駄に長い作品もあるし、舌足らず過ぎて弱い印象に陥っている作品もある。
連作短編は、やっぱり一つ一つの短編が小宇宙を描けていなければ意味がない。
そしてもっと有機的に絡み合わなければ連作短編にする意味がない。
それは『チルドレン』ではとても顕著で、まったく意味不明の部分もあった。
伊坂さんは実はまだまだだと思うのだ。
必ずいつか傑作を書くのだろうけど。
(ちなみに、もう一人の『いつか傑作を書くだろう作家』である恩田さんは、書きました)

でも伊坂さんの文体は優しいのでとても読みやすい。
今日もあっという間に読み終わってしまった。
通俗的とはまた違う何かがあるのだ。
サラッとしていてプニュプニュ柔らかい。
もちろんそこが物足りないと言う人もいるだろうけど、僕は好きだ。
まぁ文章として、相変わらずあまりに無頓着な部分もあるけれど。
by kadocks | 2005-08-27 05:13 | Book


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